多くの企業が抱えているファイルサーバの課題に「肥大化」「ブラックボックス化」「セキュリティ対策」があります。そして、これらの課題を解消する有効な手段がファイルサーバ管理・分析ツールの活用です。本記事では、ARIの デジタルビジネス部のシニアプロジェクトマネージャーでありエンジニアでもあるS.SATOSHIが、ファイルサーバ管理・分析ツールとは何か? 何ができるのか? について解説します。さらに、ファイルサーバ管理・分析ツールの主要5製品について、その特徴やおすすめポイントを紹介します。
・導入の目安はデータ量が5TBを超えた頃
・絶対に必要な機能をチェック
・最終的にはコストと相談
・NIAS(日本電気株式会社)
・GDMS(ジャストシステム株式会社)
・活文(株式会社日立ソリューションズ)
・Resource Athlete(株式会社網屋)
・ZiDOMA data(ARアドバンステクノロジ株式会社)
2020年3月13日に米国のデル・テクノロジーズが発表した「データ保護に関する最新調査結果」によると、2019年時点で企業が管理しているデータ量は、2018年の平均9.70PB(ペタバイト)から約40%増の13.53PBに上り、2016年調査時の1.45PBからは831%増となっています。
このように、加速度的に増加するデータ量によって、ファイルサーバの容量は肥大化し、慢性的な容量不足に陥ります。
不要なデータを削除して容量を確保しようとしても、ファイルサーバがブラックボックス化してしまい、残すべきデータと削除できるデータの判別がつかない可能性もあります。
また、個人情報データを扱う場合は、それらのファイルについてさらに厳重な管理と高いセキュリティが求められます。
これらファイルサーバが抱える課題を解消する手段として有効な存在が、「ファイルサーバ管理・分析ツール」です。
参考:Dell Technologies Blog「デル・テクノロジーズ、データ保護に関する最新調査結果を発表」
https://www.dell.com/ja-jp/blog/global-data-protection-index-2020-snapshot_japan/
現在、市場に存在するファイルサーバ管理・分析ツールには、製品やサービスごとに特徴があります。ただし、ほぼすべてのツールに搭載されているものがあります。それが可視化機能です。具体的には、ファイルサーバにあるデータについて「容量、種類、作成日、作成者、アクセス日時」などの情報を可視化してダッシュボードに表示します。ユーザは可視化された情報から、作成日やアクセス日時が古く、かつ容量の大きなデータなどをピックアップして削除またはアーカイブして、ファイルサーバの肥大化を防ぎます。また、ツールの中にはセキュリティ対策として、アクセスログの取得やアクセス権限の管理が可能な製品もあります。
これらの機能を活用することで、ファイルサーバが抱える「肥大化」「ブラックボックス化」「セキュリティ」の課題を解消できます。
ARIが提供するファイルサーバ管理・分析ツール「ZiDOMA data」のダッシュボード
なお近年では、より柔軟な運用を目的としてファイルサーバをクラウドに移行するケースも増加しています。そしてファイルサーバ管理・分析ツールには、データ移行の機能を持つ製品もあります。もしデータ移行の計画があるのであれば、この機能も検討項目として加えておきましょう。
ちなみに、クラウドへの移行はインターネット回線を使用するので、データ転送に多くの時間が必要となります。また、利用するクラウドサービスによっては1日の転送量やファイルサイズの上限が設定されるなど、制約が発生するケースがあります。データ移行についてはさまざまな検討ポイントや注意点があるので、後日あらためて別記事にて解説します。
続いて、ファイルサーバ管理・分析ツールを検討する際にチェックするポイントをいくつか紹介します。なお前述したように、可視化については、ほぼすべての製品に備わっている機能であり、そこに大きな差はないと考えています。もちろん、見た目のわかりやすさや使い勝手のよさなど、細部については異なる部分も存在します。ただ、それらはファイルサーバの運用形態や他のシステムとの兼ね合いもあるので、体験版などで実際に触れて判断していただくほうがよいでしょう。
これは弊社の経験則なのですが、データ量が5TBを超えたあたりから導入検討のご相談をいただくケースが多いようです。近年はデータサイズが巨大化しているため、容量に余裕があると感じていた場合でも、大きなプロジェクトが動き出して急速にファイルサーバの容量が逼迫してしまい、プロジェクトのみならず会社全体の業務に影響が出ることもあります。万が一の場合に備えて、まだ容量に余裕がある段階で、少なくとも検討だけは進めておくことをおすすめします。
たとえば、個人情報のデータを扱うのであれば、アクセス権限の管理も含めたセキュリティ機能は必要でしょう。また、クラウドへの移行やアーカイブを検討するのなら、データ移行機能の存在や利用するクラウドサービスとの相性も重要なチェックポイントとなります。 ただ、ファイルサーバがブラックボックス化した状態だと、そもそも何が必要な機能なのかがわからない可能性もあります。その場合は、無料トライアルなどを利用して、ファイルサーバのおおよその状況を確認しておくのも手段の1つです。
ファイルサーバ管理・分析ツールの製品は、そのほとんどに無料トライアル期間が設定されています。あくまでトライアルなので、分析の範囲や内容などに制限がある場合もありますが、それでも必要な機能を洗い出す指針の1つとはなるはずです。
ファイルサーバ管理・分析ツールには、製品ごとに料金モデルが異なります。固定のライセンス料が設定されている製品もあれば、管理・分析するデータの容量に応じて料金がかわる従量課金の製品もあります。また、機能によっては追加料金が発生する場合もあります。 たとえば、数十TBを超えるような大容量を管理・分析する場合は固定ライセンス料の方が、数TB程度の容量を管理・分析する場合は従量課金の方がコスト効率はよくなります。
ただし、いくらコストが低くても、必要な機能が備わっていなければ意味がありません。また、今は数TB程度でも事業が成長すれば2〜3年後には数十TBを超えてしまう可能性もあります。現在のみならず、将来の事業計画も含めて、コストを検討することをおすすめします。
ここからは、主要なファイルサーバ管理・分析ツールについて、具体的な特徴を解説します。なお、これらはあくまで、私の個人的な調査と主観によるものです。また、2023年6月時点で公表されている内容に基づいたものであることを、あらかじめご了承ください。
NIASは日本電気株式会社(NEC)が提供する「ファイルサーバ統合管理ソフトウェア」です。最大の特徴は、高度なセキュリティ機能です。柔軟なアクセス権限の管理設定が可能で、オプションながら個人情報を含むファイルの見える化をする「個人情報検出機能」や不正アクセスを検知する「ログ監視機能」などが提供されています。
NIAS公式ページ
https://jpn.nec.com/nias/
NIAS試用版申し込みページ
https://jpn.nec.com/nias/info/trial.html
GDMSは一太郎で有名なジャストシステム社が2010年6月にリリースした「ファイルサーバー統合管理システム」です。ファイルの整理・アーカイブ、アクセス権の最適化・監査、申請・承認フローの構築など、多彩な機能が特徴です。なお、ファイルシステムはNTFSのみ対象でFATは対象外となっています。
GDMS公式ページ
https://www.justsystems.com/jp/products/gdms/
GDMS体験版申し込みページ
https://www.justsystems.com/jp/srv/eps/gdmseval/?w=gd4btm
活文は日立ソリューションズが提供するビジネスデータソリューションの総称です。同社が提供する「ファイルサーバー運用管理ソリューション」は、ファイルサーバの見える化をする「活文 File Server Optimizer」、アクセス権を管理する「活文 File Server Access Controller」、ファイルの保管先を検索する「活文 企業内検索基盤」などで構成されています。必要な機能に応じて柔軟にソリューションの構成を変更できるのが特徴です。
活文「ファイルサーバー運用管理ソリューション」公式ページ
https://www.hitachi-solutions.co.jp/katsubun/sp/fileserver_kanri/
Resource Athleteは株式会社網屋が提供するファイル管理・分析ソリューションです。なお、同社のラインナップでは「データ・セキュリティ」に分類されています。そのため、アクセス権・アカウント・インベントリ情報の可視化など、セキュリティ面の機能が多く搭載されています。また、サーバやPCにエージェントをインストールしないエージェントレスなサービスである点も特徴の1つです。
Resource Athlete公式ページ
https://www.amiya.co.jp/solutions/resource_athlete/
Resource Athlete体験版申し込みページ
https://www.amiya.co.jp/trial/?citem=alog&pitem=ra&inflow=solutions
最後に、私たちARIが提供するZiDOMA data(ジドーマ・データ)について紹介します。
ZiDOMA dataの特徴はシンプルであるが故の使いやすさです。分析、管理、セキュリティ、データ移行について必要な機能をしぼり、直感的な使い勝手のよさを実現しています。また、データ容量に制限のない料金設定のため、特に大容量のデータを管理・分析する場合のコストパフォーマンスに優れています。
ZiDOMA data公式ページ
https://zidoma.com/data.php
ZiDOMA data無料トライアル申し込みページ
https://zidoma.com/trial/form.php
今回紹介した5つの製品について、特徴を比較する表を以下にまとめました。こちら、検討の参考にしてみてください。なお、こちらに掲載されているものは、あくまでも私が知る範囲の内容となっています。表の中で搭載されていないとなっている機能も、カスタマイズやアドオンなどで対応できる可能性もあるので、その点についてご了承ください。
※Amazon Web Services、 Amazon S3は、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。
※Google Drive、Google 共有ドライブはGoogle LLCの商標です。
※SharePointは、マイクロソフト グループの企業の商標です。
ファイルサーバ移行、ファイルサーバ分析・管理に課題をお持ちの方、
ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください